クムリポKumulipoとは、ハワイ語で生命の源という意味で、王家代々に伝えられてきた創世神話のことをいいます。日本の古事記や日本書記のような歴史書物と同じものです。もともと文字を持たないハワイ文化では、王族の歴史や島の神話をメレ・オリやメレ・フラによって体現して伝えられてきました。
1700年ごろ、当時の王族の誕生記念に約2000行から成る叙事詩としてクムリポが書かれました。1823年、キリスト教布教のためイギリスの語学者によってハワイ語のクムリポがアルファベット表記に置き換えらて出版。1889年、カラカウア王の時代に公表されはじめて世に出回り、その後、英訳され世界的に有名になりました。
これによって、ハワイの歴史や文化が注目を浴び、特にハワイの人々が寛大で想像力豊かな心を持ち、神々への信仰心が深いことに当時は驚異的なことだったのでしょう。また、文字を持たないハワイ人が、何代にもわたり音声言語だけの生活をすることで、人が自然と語り合い一体化する手段としてフラが誕生したことが明らかとなりました。
クムリポがなければ、フラが世界中に知れ渡ることが無かったかもしれません。
写真はクムリポに登場する、戦いの神・クカイリモクです。中腰が戦闘体勢を表現しているそうです。
クムリポ